やさしいライオンには
動物の温かい親子の絆の強さや人間の身勝手さが描かれています。
他にも分かりやすいストーリー、優しい色使い
手元に置いておきたい一冊です。
あんぱんまんで有名なやなせたかしさんが1969年に出版した
絵本やさしいライオン。
やなせたかしさんの絵本作家としてのデビュー作だとか。
そんなやさしいライオンの悲しい泣けるラストを紹介しつつ解説していきます。
やさしいライオンのあらすじ
ある国のどうぶつえんに
親のいないライオンがいました。
名前をブルブルと言います。
ムクムクというめすいぬが
ブルブルのおかあさんがわりになりました。
ムクムクはブルブルにこもりうたをうたったり、
しつけをしたりしてたいせつにそだてました。
ブルブルはやさしいライオンにそだちました。
大きくなったブルブルはムクムクとはなれ
とかいのどうぶつへんへうつされました。
そして、サーカスの人気者になりました。
しかし、何年たっても
夜になるとブルブルはムクムクの子守うたをおもいだすのでした。
ある晩、眠りにつくと
遠くから懐かしい歌が聞こえてきました。
歌をきいたブルブルが向かった先には…
やさしいライオンの感想
必ずしもハッピーエンドでない絵本も多いですよね。
この話も…
ただ、死んでしまったらやっぱり悲しいのですが
ブルブルは思い出していたお母さんに出会え
一緒に最後を迎えられたことに
ホッとする気持ちにもなります。
他のブログで紹介した
サーカスのライオンともラストが似ているなという感想ももちました。
たとえ本当の親子ではなくても
大切にされた思いはずっとずっと心に残っていて
その人の人格(ここでは、ライオンですが)に影響するのだなとおもいました。
便利な世の中になってきて、
わたしたち人間の子育ても色々な道具もあるようですが…
それはそれとして、じょうずに利用しつつ、
子どもに向き合って関わってあげてほしいなと思います。
絵本は親子の触れ合いにピッタリです。
お母さんに会いに出てしまったブルブルは
町の中を走り回ります。
決して人に危害を加えようとしたわけではありませんが
人間にとってそれは恐怖だったことでしょう。
ただ、人間の思い込み…
もちろん言葉が通じるわけもないですから仕方ないことですが
せっかく出会えたブルブルでしたが
ラストには撃たれてしまいました。
対話することができたら
こんな悲しいラストにはならずに済んだでしょう。
相手を知ることが大切だなとも感じさせられました。
やさしいライオンの魅力①ストーリーがシンプル
展開が早いのですが
分かりやすいストーリーで、
さくさく話がすすみます。
あまり余計な修飾もないので
小さなお子さんでも内容は理解できるのではないでしょうか。
ラストは悲しいお話ですが
だからこそ、命を大切にすること
相手を思いやることが伝わりやすいと思いました。
やさしいライオンの魅力②やさしい絵と色
スケッチブックに色鉛筆で着色したような風合いの絵が中心になっています。
背景の色は登場人物の心情を表しているような色選びになっています。
子どもは、背景の色からも話の内容を読み取っていることでしょう。
泣けるラストを解説
お母さんの子守唄を聞いた
ブルブルは勢いよく折から出て
町をかけめぐります。
ようやくお母さんに会え
一緒に暮らすことを約束したそのとき
追いかけてきた警官に打たれ
お母さんを抱いたまま倒れました。
感想にも書きましたが
ブルブルのことを人間が良く知っていたのなら
こんなラストにはならずにすんだのかもしれません。
人間の安全を守るためにという正義をもつのはどうなのかなと
考えさせられました。
共存、共生できる世の中を。
人間の勝手で何もかも行ってはいけないなとつくづく考えさせられます。
おかの雪の上に足跡が付いていましたが
中ほどで見えなくなっていて、
その夜、
犬を背中に乗せたライオンが跳んでいくのを見た人が何人もいたそうです。
きっと、二人離れることなく
自由に空を駆け巡っているのだろうなと思います。
最後、二頭は幸せであってほしいなと願っています。
やなせたかしさんとやさしいライオンを解釈
母犬の声を聞いて、おりをやぶって飛び出していったライオン。
その心の中は、離れてくらす母親と会いたくてたまらなかった
こどものころのやなせたかしさんの心の中とにていたのではないでしょうか。
そして、ほんとうの母親ではないのに、
やなせたかしさんを育ててくれたおばさんへの感謝の気持ちも
この話には、込められていたのかもしれませんね。
おまけ
最後のページにブルブルに歌った子守唄が
楽譜付きで載っています。
やさしいお母さんの気持ちがあふれる歌でした。
映画やミュージカルにもなったことがあるお話だそうです。
やさしいライオンの登場人物や出版社、対象年齢など
著者 | 作・絵 やなせたかし |
出版社 | フレーベル社 |
出版年月日 | 2022年10月21日 もとは1969年発刊 |
ページ数 | 32ページ |
定価 | 1360円+税 |
対象年齢 | 4歳から |
登場人物 | ブルブル むくむく けいかん たいちょう |
やなせたかしさんのあんぱんまんについての詳細はこちら
やなせたかしさんの外の絵本チリンの鈴については
こちらのサイトで紹介しています。
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