3つの出版社の国語の教科書に掲載されている「スイミー」。
レオ=レオニの代表作でもある「スイミー」。
そんな「スイミー」の伝えたいこととは何でしょう?
簡単なあらすじや感想に加えて教科書と絵本の違いなども解説します。
「スイミー」の簡単なあらすじ
広い海で、兄弟たちと仲良く暮らしていたスイミー。
みんな赤いけれど一匹だけからす貝よりも真っ黒。
ある日突然やってきた大きなマグロに
兄弟たちは食べられてしまい
残ったのはスイミーだけ。
海にいる生き物たちをみているうちに
一人ぼっちで寂しかったスイミーは
元気を取り戻していきました。
そして、兄弟たちとそっくりな魚たちの群れに出会うのでした。
しかし、魚たちの群れは大きな魚が怖くて、
岩陰から出られません。
そこでスイミーが考えた名案は…
素敵な名案のおかげで大きな魚を追い出して、
外の世界で泳ぐことができるようになったのでした。
「スイミー」の感想
絵本を読むと惹かれるのは、
やはりレオ=レオニの絵の素敵な世界ではないでしょうか。
スイミーの気持ちを反映するように
絵も暗い感じから明るい感じになっていくのが素敵です。
特に、海の中で色々な素晴らしいものを見つけていくとき、
クラゲやイセエビ
こんぶやわかめのはやしなど
絵に引き込まれていくのではないでしょうか。
私は。教科書ではない、絵本のスイミーを読んだとき
スイミーが兄弟と離れて一匹で寂しい気持ちで海を泳いでいる時を
自分に重ねて読んでいました。
子どもと離れた時。
卒業して友達と離れた時。
家族と離れた時。
みんなと離れて一人でふらふらする寂しさ。・
その中でも内にこもるのではなく
外の世界に出て行って色々なものに出会って
明るさを取り戻していく…
自分の殻に閉じこもっているだけではだめで
きっと、外の世界で誰かや何かとつながっていることで
新しいものに出会える。
私は、そんな前向きな気持ちを受け取ることができました。
子どもにとっては、
スイミーが一人ぼっちになったところがかわいそうとか、
岩から出てこられない兄弟とそっくりの魚たちに声をかけ
大きな魚になるように音頭を取ったり、
自分が目になると声をかけて
大きな魚になってマグロを追い出すところに
心を奪われていました。
ちょっとしたヒーローですね。
協力することの大切さもしっかり伝わりますね!
「スイミー」の作者レオ=レオニとは?
1910年オランダで生まれました。
イタリアで暮らした後、
アメリカに亡命しイラストレーター、
グラフィックデザイナーとして成功をおさめます。
その後イタリアへ帰国し1999年
イタリアのトスカーナでなくなりました。
子供向けの本を書くようになったのは、1959年。
一緒に電車で異動していた孫のためにかかれた
「あおくんときいろちゃん」がスタートだったそうです。
もともとイラストレーター、
グラフィックデザイナーだったからこその
絵なのだと思うと、
どの絵本も絵に心を奪われるのは納得です。
孫がかわいくて、孫のために何かしたいという気持ちが
絵本作りにつながったのでしょうね。
どの時代も、どの国の人も孫はかわいいのかな?
「スイミー」の伝えたいことは?
一番は、協力することの大切さではないでしょうか。
大きな魚の振りをするには、練習も必要でしょう。
みんなが協力して同じ速さで泳がないといけません。
二つめは、個性の生かし方
スイミーだけ他の兄弟や兄弟に似た魚と色が違います。
仲間外れにされることなく
自分のその個性を
目になることで最大限に生かしています。
その人だけにしかできない個性。
他と違うということで差別されるのでなく卑下するのでなく
それを生かす。
私もそういう目で人と関わりたいと思います。
三つめは、外の世界を知りたくましくなる過程
一匹だけになって悲しんでいたスイミーが
周りの世界を見つけるにつれ元気になっていきます。
一人で色々悩むより、やっぱり周りに目を向けて
色々なことを知ることで人間も成長したり、
人としての幅を広げることができると思いました。
実は、作者のレオ=レオニ自身は、
「自己発見と自己実現」を主題として
「スイミー」をかいたといわれているそうです。
様々な視点から話を感じることができる「スイミー」は、
奥が深いですね。
世界中でロングヒットを誇る理由も分かる気がします。
「スイミー」教科書と絵本の違い
文章は全く同じでした。
国語の教科書の限られたページに、文章を掲載すると、
絵が減らされるのが必然ですね。
減らされている絵の大部分はスイミーが
一人ぼっちになって泳いでいるところでした。
一つ一つの絵に迫力があるので、
教科書だけにとどまらず、
ぜひ絵本も手に取って読んでほしいと思います。
「スイミー」の基本データ
著者 | レオ=レオニ作 谷川俊太郎訳 |
出版社 | 好学社 |
出版年月日 | 1969年4月1日 |
ページ数 | 32ページ |
定価 | 1650円 |
対象年齢 | 3歳・4歳・5歳・6歳・7歳以上 |
小学校2年生で掲載されている本は
こちらで紹介しています。
レオ=レオニの他の作品
アレクサンダとぜんまいねずみについては
こちらで紹介しています。
翻訳者の谷川俊太郎さんについては
こちらで紹介しています。
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