子どもたちが手に取って読んでいたのは知っていたのですが
実際に自分で読んだのはずいぶん経ってからです。
絵が好みではなく手にしなかったのです。
単に恐竜が出てくる話でしょくらいにしか思っていなかったのですが
読み聞かせのボランティアさんが読んでくださり
感動してしまいました。
映画やアニメにもなっているほどだったとは…
そんな泣ける絵本うまそうだなの
伝えたいことや魅力
名言を紹介し
悲しい結末を紹介します。
おまえうまそうだなのあらすじ
大昔
山がふんかし、
地震がおこっていたとき
一匹のアンキロサウルスの赤ちゃんが生まれました。
ひろいところに一人ぼっち
さみしくてたまりません。
そこへ、
「おまえうまそうだな」
と、ティラノサウルスがとびかかろうとしました。
すると
アンキロサウルスは、
「おとうさん」
とティラノサウルスにしがみつきました。
なぜお父さんと思ったかと言うと…
「うまそう」
と名前を呼んだから。
自分の名前を知っていたから。
自分を「うまそう」だと思った
アンキロサウルスは
ティラノサウルスをすっかりお父さんだと思い込み…
なついてティラノサウルスにあこがれる
アンキロサウルスとの
不思議な親子関係が始まるのでした。
この先は、二匹のどんなかかわりがあるのかを
楽しみながら読み進めてください!
おまえうまそうだなの伝えたいことや魅力
愛
これに尽きるのではないでしょうか。
本物の家族ではなくても
お互いを思いやり
相手のことを考えて行動する。
この絵本は、あらゆる場面で
お互いを思う気持ちが表現されています。
ティラノサウルスの子を思う父親の愛情
ウマソウが生きるすべを教える。
たいあたりや尻尾の使い方、ほえ方。
草食恐竜が肉食恐竜に進んで体当たりをするとは思えませんが
でも、何かの時に体当たりや尻尾は使えそうです。
ほえて威嚇することも??
生きていくには必要そうですよね。
人間も父親は細かいことをいちいち言うというよりも
ドーンと構えていて
一歩引いて俯瞰して物事を冷静に見ている。
困った時に出てきてアドバイスしたり
示唆をくれる
それが父親かなと思います。
現在の父親像ってどんなものなのでしょう…
そして、別れの決意。
自分のことだけを考えていれば
一緒にいたければ
ウマソウと一緒にいることを選ぶこともできたでしょう。
でも、ウマソウのことを考えれば
それは、ウマソウにとってのベストではありませんよね。
ウマソウは本当の仲間、本当の両親のもとで生活するほうがいいはずです。
ティラノサウルスは自分のことではなく
ウマソウを思って別れを告げたのだと思います。
これは、もう、本当の父親!
そして、父親の強さだなと思いました。
だからこそ、別れの場面はより一層泣けてしまいますね。
子の幸せを第一に考える親心。
親だからこそ感情移入してしまう
そんな絵本でした。
子どもたちもこんな悲しい本なのに、
読み聞かせのリクエストを何度もしてきます。
お父さんの愛情を受けているようで
心地いいのかもしれないですね。
まだ、読んだことがない人はぜひ、読んでみてください。
おまえうまそうだなの悲しい結末を考察
ティラノサウルスは
教えることがなくなると
別れることを告げます。
別れたくないウマソウは、
ていこうするので
山までの競争を提案します。
勝とうとするあまり
後ろもかえりみず、必死で前を向いて
全力で走ります。
それだけティラノサウルスといることを
切望しているウマソウの気持ちを考えると
別れることがかわいそうになってしまいます。
進んだ先には、
本当のアンキロサウルスの仲間?両親?がいるのでした。
その間、走らずにウマソウを見ていたティラノサウルスは
仲間と出会えたウマソウを見届けると
心の中で別れを告げました。
本当はえさであるはずのウマソウに
生きるすべを教え、
ウマソウのことを思い
仲間に出会わせ
ウマソウにとっての本当の幸せを考え
自分の愛情や気持ちを優先するのではなく
行動しているところが悲しみを誘います。
また、必死で勝負して勝とうとするウマソウの様子も
そしてどんどん離れていく様子も
言葉のない見開き2ページで
絵のみが描かれています。
言葉や説明がないことで
読者に想像を促しているのだと思います。
それぞれが、自由に解釈を膨らませることができます。
2ページめくっている間に
子どもたちも無言で絵をじっと見ています。
最後、ウマソウはどんな言葉を
ティラノサウルスにかけたかな?
こちらをみているウマソウを背に
ティラノサウルスはどんな表情をしていたのかな…
読み手に最後を色々考えさせてくれる結末でした。
おまえうまそうだなの名言
おとうさんみたいになりたい
最初、この言葉を聞いてから
ティラノサウルスはウマソウが気になり始めます。
教えられることをウマソウに教え、
そのたびにあこがれのように
おとうさんみたいになりたいと
頼りにされ
ティラノサウルスも自己肯定感が上がっていったに違いないですね。
悪い気持ちはしなかった…
誰も認められたいんですよね。
そして、言葉で伝えられたら
そのよう(おとうさんみたいに、かっこよく)に
振る舞いたくなりますよね。
子どもに、こんなことを言われたら
本当のお父さんだって嬉しいですよね!!
こんな風に言ってもらえるように
親として頑張りたいなと(私はお母さんですが)思います。
おとうさん、これたべて。
あんまりくさ、
すきじゃないんでしょ。
ぼく、あっちのやままでいって
とってきたんだよ。
すごいでしょ
草をたべずにウマソウにくれる
ティラノサウルスを思い
ウマソウはわざわざ、
遠くまで行ってティラノサウルスのためにとって来た実。
どこに行ってしまったかと
ウマソウを心配するティラノサウルス。
ティラノサウルスを思って
食べ物(といっても、
ティラノサウル素は本当は実より肉を食べたいでしょうが…)を
取りに行くウマソウ。
お互いを思いやる気持ちはすでに芽生えていますよね。
この、ウマソウの気持ちが愛らしいですね。
おまえにはもうおしえることがなくなったよ。
だからきょうでおわかれだ。さようなら
本来は食べる、食べられる関係にある恐竜同士。
ずっと暮らすわけにはいかないことをティラノサウルスは
分かっていたのでしょうね。
でも、自分を慕ってくるウマソウを無下にもできず
教えられることを伝えていた。
もう、してあげられることがない。
これ以上いたら、もっと愛情がわいてくる…
そう思って、別れを告げたのだろうなと思います。
ティラノサウルスの相手を思う優しさが
伝わる言葉です。
一緒にいてあげたい、いたい、
けれど、それがウマソウにとってベストではないことを
分かっている
そんな気持ちが伝わります。
親として、子どもたちが自立して
家を出て行ったときの
嬉しいけれどなんとも言えない
さみしい気持ちを思い出してしまい
ティラノサウルスを自分に重ねて
なんだか悲しくなってしまいました。
喜ばしいことではあるのですが…
複雑ですよね。
さようならウマソウ…
最後のページの
ティラノサウルスの別れの言葉です。
ウマソウのことを思えばこそ
離れる選択をしたティラノサウルスの
さみしさが最後のページから感じ取ることができ、
この一言とその後の行動が悲しさを倍増させられてしまいます。
おまえうまそうだなの作家の宮西達也さん
シリーズで絵本を出されているものも多いので
子どもにシリーズのものを1冊読むと
そこから絵本が広がり
特に学校図書館で本を選ぶのに
悩んでしまうお子さんにはおすすめです。
このおまえうまそうだなは
ティラノサウルスシリーズで15冊。
お父さんはウルトラマンのシリーズは9冊
教科書にも出てくるニャーゴはちゅーちゅーとセットでシリーズ。
ふしぎな○○屋さんシリーズもあります。
私もすべては読んでいないので、
これから少しずつ読んでみようと思っています。
他にも、お母さんを題材にしたものもあり
家族のものが多いようですよ!
小学校2年生の国語の教科書に掲載
宮西達也作ニャーゴについての詳しい解説はこちらからどうぞ
おまえうまそうだなの登場人物や出版社など
著者 | 宮西達也 作・絵 |
出版社 | ポプラ社 |
出版年月日 | 2003年3月15日 |
ページ数 | 40ページ |
定価 | 1540円 |
対象年齢 | 3歳・4歳・5歳(ポプラ社HPより)
6歳以上でも様々感じさせてくれる絵本です。 |
登場人物 | アンキロサウルス(うまそう)ティラノサウルス
キランタイサウルス |
おまえうまそうだなをかいた宮西達也さんについて詳しく知りたい方は
こちらに掲載しています。
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