2010年の課題図書に選ばれ、
平成27年度から光村図書出版に掲載されているミリーのすてきなぼうし。
絵が文だけでは伝わらないミリーのすてきな想像力を
補ってくれます。
絵も楽しめる絵本です。
教科書だけではもったいないミリーのすてきなぼうしの
絵の魅力やあらすじを紹介します。
ミリーの素敵なぼうし、いつから教科書に掲載?何年生?
小学2年生、光村図書出版の国語の教科書に掲載されています。
7月に扱う教材なので
読んで感想をシェアして他の読書につなげるという
簡単な扱いになっていますが、
それではもったいないほど
子供たちはこの本が好きです。
ミリーのふしぎなぼうしのあらすじ
ミリーは、学校帰りに
ぼうしやさんの前をとおります。
色とりどりの羽の付いた帽子を気に入ったミリーが店内に入り
ぼうしを見せてもらいます。
気に入ったミリーは買うことにしましたが
お金が足りません。
もう少し安いぼうしを買おうと
からっぽのさいふの中を店長さんに見せました。
店長さんがもってきたぼうしは、
大きさも、形も色も自由自在
想像しだいでどんなぼうしにもなる特別なぼうしでした。
想像しないと形にならないぼうしをかぶり
町を想像しながら歩きました。
みんながそれぞれの帽子をもっていることに
途中で気付くのでした。
ミリーのふしぎなぼうし教科書と絵本の違いは?
教科書ということを考えると仕方ないのですが
絵の数が圧倒的に違います。
絵による違い
ミリーのふしぎなぼうしでは、
絵で文章を表現している部分も多く、
絵が少ないのが少し物足りない気がします。
特に、帽子屋さんの店長さんとのやりとりの場面では、
店長さんがミリーを一人のお客様として
ミリーに合った帽子を一生懸命考えてくれている様子や
ミリーに見えない想像のぼうしを
ていねいにかぶせているところなどが
一つ一つ文章と絵が対応するように描かれているが
そこは、省略されています。
また、
くらくてさびしい水たまりの帽子をかぶったおばあさんの場面では
教科書では
「ミリーのぼうしの中から、
鳥や魚が飛び出して、
おばあさんのぼうしにとびうつりました。
ミリーはうれしくなって、うたをうたいました。
すると、ぼうしもいっしょにうたいました。」
の文章だけなのですが、
絵本では
ミリーの帽子にいた魚や鳥がとびうつって、
おばあさんの帽子に鳥や魚がいっぱいになり、
にこにこしたおばあさんが楽しそうにかけていく姿が描かれています。
つまり、
おばあさんがうれしそうにしている姿を見て
ミリーはうれしくなって
歌を歌い出したのではないかということが分かります。
文の違い
絵本では
「ミリーは がっこうのかえり、
ぼうしやさんの まえを とおりました。」
となっていますが
教科書では
「ミリーは、さんぽのとちゅう、
ぼうしやさんの前を通りました。」
となっています。
これは、教科書であつかうので
学校帰りによりみちをさせるわけにはいかないというところでしょうか?
おまけに、おさいふももっていて(空っぽではありますが。)
買い物までしようとしているのですから
学校帰りはやっぱりよくないのでしょうね。
ミリーのふしぎな帽子の魅力
ミリーの想像力
ミリーが想像する、ぼうしの数々に楽しくなります。
最初に書いた買った色々な色の羽の帽子から想像したクジャクの帽子
高く積まれたケーキの帽子
お花の帽子や噴水の帽子。
歌の帽子は帽子も歌い出して楽しそう。
寝ている時もかぶっている帽子。
子どもってきっと、ミリーのように
枠にはまらない自由な想像力を持っているのだろうなぁと
羨ましくなります。
そして、
みんながそれぞれに帽子を持っていることに気付くミリー、
すてきだなぁと思います。
それぞれが好きなものだったり、
興味があるものがあることに気付くのですね。
絵
ミリーが想像した帽子をより魅力的にしている絵は
見ていて楽しいです。
ミリーの楽しいワクワクする気持ちが
帽子の絵となり表れています。
これでもかというくらい大きかったり、
高く積まれている帽子に引き込まれること間違いなしです。
また、みんながかぶってる帽子を一つ一つ見るのも
子どもたちは、楽しめます。
おとな(店長さんやおかあさん)の関り
個人的には、店長さんが一番魅力的な人だと思ってしまうのですが
お金がないのに
しんけんに帽子を買おうとするミリーに
店の裏から箱を手に戻ってきて
ミリーに
「特別な帽子です。」
と言いながら 渡します。
慎重に 箱から帽子を取り出したり
ミリーの頭に乗せてあげたり…
ミリーの気持ちに寄り添って考え、
ミリーに満足する帽子を渡しました。
ミリーをお客様として丁寧に扱い真摯に対応する姿も素敵でした。
何より、ミリーが満足する帽子を考えられる
素敵な想像力の持ち主で、
頭の固い私はただひたすら感動するだけでした。
また、お母さんも
帰宅して素敵な帽子を帽子について自慢するミリーに
否定するのではなく
「そんな帽子が欲しいな」
と共感している姿も素敵だなと思いました。
こんな大人たちが周りにいたら
子どもの伸び伸び
想像力豊かに満足して育つのでしょうね。
ミリーのすてきなぼうしの伝えたいこと
物がなくても
楽しいこと
人を笑顔にさせることは
あるんだ!できるんだ!
ということを私は感じました。
それは、お金で買わなくても…
おばあさんがくらくて寂しい水たまりの帽子をかぶってきた時
ミリーが笑顔を返したら
ミリーのぼうしの中からおばあさんのぼうしに
さかなやとりがうつって楽しそうにおばあさんのひょうじょうが変わったところからも
そんな風に感じました。
また、最後の
「そうです。だれだって もっているのです。
じぶんだけの すてきな ぼうしを。」
のところからも
みんな、
いいところや好きなもの、得意なものがあるんだよ!
ということを改めて私たちに教えてくれています。
それが、その人のオリジナリティーの一つだよ!
って。
教科書として扱ってきた時の発問
教科書の文中に出てきたぼうしと
絵本の帽子をマッチングさせていくのが楽しいです。
(教科書には、二つしか出ていないので…)
絵本の帽子を見せるだけでも
子どもたちは喜んでくれますが、
歌をうたうぼうしと大きくなりすぎたぼうしが
どちらかを考えさせるのが面白いです。
子どもたち、絵の細部を見て
理由を考えて意見を言ってくれました。
ミリーのすてきなぼうしの登場人物や出版社など
著者 | きたむらさとし |
出版社 | BL出版 |
出版年月日 | 2009年6月1日 |
ページ数 | 32ページ |
定価 | 1650円 |
対象年齢 | 5・6才くらいから |
登場人物 | ミリー ぼうしやさん おかあさん |
小学校2年生で掲載されている本は
こちらで紹介しています。
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