窓ぎわのトットちゃんは、
戦後出版された本の中で最も売れた本です。
黒柳徹子さんの
小学校1年生から3年生(疎開するまで)の
学校生活を中心に書かれた
自伝的小説です。
1981年に発売され、
国内の売り上げ部数は800万部以上。
世界累計2500万部以上。
35か国以上20以上の言語で翻訳され、
読まれています。
窓際のトットちゃんのなかの1つの話は、
小学校2年生の道徳の副読本にも掲載されているんですよ!
この、窓ぎわのトットちゃんは、
42年の時を経て、
2023年12月8日にアニメーションで映画化されます。
戦後最大のベストセラーである窓ぎわのトットちゃん
なぜ売れたのかを魅力や名言、伝えたいことを
交えて考察していきます。
トットちゃんが通っていたトモエ学園の教育なども解説していきます。
窓ぎわのトットちゃんのあらすじ
当時、開けたりしめたりできた机を
バタバタしたり
チンドン屋が来ると窓際で立ち上がり、
チンドン屋を呼びこみ、
おしゃべりをする。
誰かに話しかけていると思ったら
つばめに話しかけている。
つまり、全然おとなしくしていない
そんなトットちゃんに困った学校の先生たちは
困っているというのです。
そんな話を聞いて
お母さんは、
トットちゃんの性格を理解してくれ、
友達と一緒にやっていくことを教えてくれる学校へと
転校することを決めました。
自由奔放すぎたトットちゃんは
小学校に入学して間もなく
通っていた小学校を退学することになりました。
お母さんが探してくれたのは、
大井町線、自由が丘駅にあるトモエ学園。
トモエ学園は、全校約50人、
1年生はトットちゃんを入れて9人です。
電車の車両を教室にしていました。
座席は自由。その日の気分で自分で決めることができます。
時間割もありません。
やることは決まっていますが、順番は自由。
子どもに任されているのです。
早く学習が終わると、
お弁当を食べて散歩に行く様子や
トットちゃんのたくさんのエピソードが
たくさんちりばめられています。
トットちゃんが疎開に行くとき、
トモエ学園が焼夷弾で焼かれてしまった時までの
ちょっと変わった学校での生活について
これまた、ちょっと個性的過ぎたトットちゃんの
エピソードが書かれています。
ここに書くには、膨大すぎるので
続きはぜひぜひ本を手にしてください!
どこから読んでも、大丈夫です!
窓ぎわのトットちゃんの感想
私がこのお話を手にしたのは
この本が出版された年だったと思います。
それから、ずっと私の手元にあり
今回記事を書くのに読み直したのを含め、3回読みました。
最初に手に取ったのは、
確か小学校6年生だった時です。
塾の先生から
窓ぎわのトットちゃんを読んでおくように
言われ、手にしました。
もしかしたら、当時受験の問題文として取り上げられる
可能性があったのか…
当時、トモエ学園があった自由が丘が家の近くだったとか
大井町線や九品仏など
なじみの地名が出てきて
親近感をもって読んでいたことを覚えています。
また、トットちゃんの行動が面白くて
話も読みやすくどんどん読み進めることができました。
こんな自由で楽しそうな学校が
自由が丘にあったんだと…
校長先生が子どもを大事にしてくれていて
存在そのものを認めている姿が心に残りました。
子どもを一人の人間として尊重していると感じました。
2回めに読んだのは、いつだったか…
2回めに読んだ時は、教師をしていました。
読み進めると、
本に登場している人と関わりのある人を
知っていたので、
こんなところに名前が出てる!!
となんだか不思議に思ったのを覚えています。
人のつながりって不思議だなと感じました。
また、地域もよく知っていたので
景色は違っていましたが
自由が丘の駅からこんな風に歩いたのかなとか
洗足の駅から大井町線にのって
周りの景色はどんなだったのかなと
トットちゃんが見ていた景色と今の景色を
想像し、比べながら読みました。
そして、3回目の今回は…
教育に対する小林先生の一つ一つの思いや
小林先生が、
トットちゃんや周りの人に掛ける言葉が
心に響きすぎて
涙なしには、読めませんでした。
大正自由教育の流れを受けての
トモエ学園だったようですが、
個性を大切にするその姿勢は
ようやく今、時代が追い付いてきているのかなぁと
感じずにはいられませんでした。
90年近くなってようやく…
戦時教育でしょうから、
今以上に
枠にはまった教育をする時代だっただろうと思うと
陰では色々と言われることもあったのではないでしょうか。
普通とは違うユニークな教育をすることに
(普通って何??とは、私個人としては思いますが…)
周りの目も気にしない硬い小林先生の考え方や
信念、行動が本当に素敵だなと私は思いました。
私も、どちらかというと
小さな枠に子どもたちを
入れないようにして学級経営をしていたので、
色々いわれることもあったのですが…
その頃に、この窓際のトットちゃんを読み直していたら
どれだけ勇気をもらえたのか
自分は間違ってないと思えたのかと思います。
ただ、全然覚えてはいなかったのですが、
きっと小学生時代に読んだ
この話の根底にあるものを
無意識のうちに
教師となった自分も探していたのかもしれないなぁ
と改めて感じさせてもらいました。
窓ぎわのトットちゃんの名言
先生にも、子育て中のお母さんお父さんにも
色々な示唆を与えてくれる名言が
窓際のトットちゃんには多数掲載されています。
紹介するのはほんの一部です。
ぜひ、たくさんの名言を探してみてください。
さあ、なんでも、先生に話してごらん。
話したいこと、ぜんぶ。
初めてトモエ学園に行き、
初めて校長先生に会って言われた言葉です。
4時間近くトットちゃんは話をしますが、
その長い時間のあいだ、
一度だって、あくびをしたり、
退屈そうにしたりしないで、
トットちゃんが話しているのと同じように、
身を乗り出して、一生懸命、聞いてくれた
そうです。
この校長先生といると、安心で、暖かくて、
気持ちが良かった。
と書かれていました。
後にも先にもこんなに
トットちゃんの話を聞いてくれた人はいない
ということで
トットちゃんは校長先生を本当に信用していくのでした。
自分にどれだけ向き合ってくれるのか
そういう人の存在は、
子どもだけでなく
わたしたちおとなにとっても
大切な存在ですね。
そんな、存在になるためには
やはり相手を大切にする
言葉ではなく行動で示すことの大切さを
私はここで改めて感じました。
なにしてんだい?
トットちゃんが
くみ取り式のトイレの中に
大切なお財布を落としてしまい
ひしゃくでくみ出し作業をしたときに
校長先生が言った言葉です。
授業も始まっているのですが
校長先生が通り過ぎた時に言った言葉がこれです。
ふたたび通り過ぎた時は、
もどしておけよ。
と言っただけ。
普通なら、小言を言うでしょう。
注意もするでしょう。
でも、子どもってやっぱり
理由があるから
何かをしているのですよね。
小言や注意の前に
子どもの気持ちや真剣さに寄り添うことが大切ですね。
小林先生のすごいところは、
その理由さえ聞かずに声をかけたところだと
私は思うのですが…
私には、到底できない境地だなぁと思います。
どんな体も美しいのだ。
高橋君や泰明ちゃんたちのように
体の不自由な子どもたちでも
ありのままを美しいと思う気持ちがなければいけません。
スローガンのように思うことはできても
それを子どもたちに感じさせるように
具体的に活動に落とし込んだり
取り組んだりするのは
容易ではありません。
小林先生はそれを運動会やプールでの活動で
実現させていくのです。
どれほど、考え抜いて教育活動をされていたのだろうと
私は、思うのです。
校長先生は、子どもたちの、
生まれつきもっている素質を、
どう、まわりの大人たちが、
そこなわないで、
おおきくしてやれるかを考えていました。
トットちゃんのように
退学させられてしまうほどの子も
素敵な素質を持っています。
現に、黒柳徹子さんの代わりになる人はいないでしょう。
そんな、大切な素質を損なわせない関りを
わたしたちおとなは、まして、
教師はしないといけないと思います。
本当に本当に深い言葉です。
言うは易し、行うは難しだなと私は、思います。
せめて、忘れないようにしていきたいものです。
君は、本当は、いい子なんだよ!
トットちゃんにいつも伝えていた小林先生の言葉です。
この言葉に支えられていたと黒柳徹子さんは言います。
大好きな人からの「いい子」
信頼している人からの肯定的な言葉
そんな言葉や思い出があったら
きっと、それを支えに生きていけます。
私も含め、子どもに関わる人たちは、
そういう気持ちで子どもに
関わっていきたいですよね。
もちろん、黒柳徹子さんのご両親も
徹子さん自身を理解されていたと思います。
伝えたいこと
トモエ学園の教育思想、小林先生の人柄
すでに、この記事で何度も伝えてきましたが
このお話自体が
小林先生、トモエ学園の教育思想で満たされています。
子どもたちの可能性を信じ、
子どもたちを受容し
それを子どもたちも感じ
相手を受容する。
そんな素敵な大きな志の人であり
教育者だったと伝えてくれています。
日々の日常の幸せ
窓ぎわのトットちゃんは、
戦争前から戦中にかけての話になっています。
次第に、戦争の色が濃くなってきていることも
話の中から読み取れます。
子どもの体験として
そこまで悲惨には書かれていませんが
ちょっとずつ状況が変化しているのが読み取れます。
小学校1年生の頃の話と3年生の話では
一気に状況が変化しているのが分かります。
子どもたちが笑い合える日常が本当に
幸せなのだろうなと思わされます。
個性の大切さ
トモエ学園の子たちは
色々な個性の子が集まっています。
しかし、どの子も輝いています。
どの子も大切にされています。
どうやって、どんな考えで
子どもたちは、お互いを認め合い大切にしあう
関係が作られていたのか
窓ぎわのトットちゃんが詳しく教えてくれています。
窓際のトットちゃんの魅力を考察
ありのままが書かれている登場人物
とにかく、トットちゃんの行動がかわいい。
生き生きしていて
伸び伸びしています。
おとなに押しつぶされず、
自分をそして、友達を大事にしている
ありのままのトットちゃんが書かれているところが素敵です。
こんな風に過ごせたらとか
こんな風に過ごしたいとか
こんな風に自分を扱ってもらえたら
と思う人は多いのではないでしょうか。
いわさきちひろさんの挿絵
黒柳徹子さんの希望で
いわさきちひろさんの絵が使われています。
黒柳徹子さんが絵を選ばれたそうです。
小学生だったころの私も
優しい水彩画のタッチがとても好きで
中学時代に
ちひろ美術館を叔母と一緒に行き、
壁掛けを買ったのを思い出しました。
分かりやすく書かれている文章。
一文が簡潔だからなのでしょうが
テンポよく話が進み
読みやすく
分かりやすいです。
中学年くらいからでも
もしかしたら2年生くらいでも
充分読むことができます。
もとの窓ぎわのトットちゃんの61のお話の中から
24個を選んで窓ぎわのトットちゃんの絵本も出ています。
小学校2年生の道徳の教科書にも掲載
「わたしの学校、いい学校」の章が、
令和2年度採用の
学校図書「かがやけみらい」の小学2年生の道徳の副読本に
掲載されています。
ここでは、トットちゃんの愛校心に共感しながら
自分の学校の良さを考えたり
より楽しい学校生活にしようとする心情を育てるという
ねらいがあるようです。
小学校低学年の子どもたちにも
充分話の内容が分かるということですね!
私も、子どもと一緒に読みたかったなと思います。
窓ぎわトットちゃんの登場人物や出版社など
ここでは、窓ぎわのトットちゃんのオリジナル単行本と
絵本を紹介します。
他に、新組版や青い鳥文庫も出ています。
オリジナル単行本
著者 | 黒柳徹子(著) いわさきちひろ(イラスト) |
出版社 | 講談社 |
出版年月日 | 1981年3月6日 |
ページ数 | 285ページ |
定価 | 1600円 |
対象年齢 | 小学生~ |
登場人物 | トットちゃん 小林先生 トットちゃんのお母さん お父さん
高橋君 泰明ちゃん 他 |
絵本(上下巻セット)
著者 | 黒柳徹子(著) いわさきちひろ(イラスト) |
出版社 | 講談社 |
出版年月日 | 2014年7月16日 |
ページ数 | 196ページ |
定価 | 3300円 |
対象年齢 | 小学1年生~ |
登場人物 | トットちゃん 小林先生 トットちゃんのお母さん お父さん
高橋君 泰明ちゃん 他 |
最後に
窓ぎわのトットちゃんのあとがきに
子どもを先生の計画に、はめるな。
自然の中に放り出して置け、
先生の計画より子どもの夢のほうが、
ずっと大きい。
幼稚園で小林先生が
保育の先生に言い渡していたことだそうです。
親の立場ではほおっておくことはできないでしょう。
しかし、おとなの計画に合わせて
子どもをコントロールしようとしていないか
何度でも問いかけたい言葉だなと思いました。
黒柳徹子さんが
すべての人の立場を考えて行動されていた李、
親善大使として
色々な国の子どもたちの中に入って
多くの活動や関りをされているのは
黒柳徹子さん自身をありのままに受け入れてもらい、
大切にされた経験があってこその行動なのだろうと
改めて、窓際のトットちゃんを読み直して思いました。
その子その子を大切に
その子その子を見て
関わっていきたいものですね。
黒柳徹子さんについては、こちらで紹介しています。
窓ぎわのトットちゃんの挿絵をかいた
いわさきちひろさんについての詳しい記事はこちらで紹介しています。
まどぎわのトットちゃんでははなせなかった
小学校2年生のトットちゃんのエピソード絵本
トットちゃんの15つぶのだいずはこちらで紹介しています。
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