きつねのおきゃくさまも
あまんきみこさんの作品のひとつです。
小学2年生の国語の教科書にも掲載されています。
お腹を空かせたきつねが
獲物であるひよこに会って変化していきます。
なぜ、変化していったのか…
泣ける結末のきつねのおきゃくさまのあらすじや
名言の考察や伝えたいことの解釈など紹介していきます。
きつねのおきゃくさまの悲しいあらすじ
おなかをすかせたきつねが歩いていると
むこうからやせたひよこがやってきた。
食べようと思ったが、
痩せていたので太らせてから食べようと考え
ひよこに声をかけた。
すると、
ひよこはいいすみかはないかと聞いてくる。
そこで、きつねのいえに招待した。
お兄ちゃんはやさしいねと言ってついてきた。
そして、食事をふるまった。
そのたびにひよこは
やさしいおにいちゃんと言った。
ある日、ひよこは散歩に出かけた。
にげる気かとその後をきつねは追った。
すると、
ひよこは、すみかをさがしているあひるに会った。
ひよこがきつねのいえのことを話すと
あひるは、ひよこにたべられるよと言った。
しかし、ひよこは
きつねおにいちゃんは、親切だと返事をしました。
それを隠れて聞いていたきつねは、
しんせつなきつねということばをつぶやきながら
急いで家に帰っていった。
そして、またまた、親切に食事を振るまった。
次にやせたうさぎをひよことあひるは連れてきた。
やっぱり大切に食事をふるまい、3匹をそだてた。
みんな、まるまるふとってきた。
ある日おおかみが3匹の匂いを嗅ぎつけてやってきた。
そのおおかみにたいして、
きつねがとった行動は…
あまんきみこさんの他の教科書で取り上げられている作品同様
おわりがちょっと切ない物語です。
きつねのおきゃくさまは教科書にも掲載
平成4年に教育出版に初めて2年生の教材として掲載され、
その後、継続して採用されています。
現在の教科書では、6月に扱われています。
以前は、三省堂も国語の教科書を出していて、
そこでも2年生で掲載されていました。
きつねのおきゃくさまの名言と考察
「いや、まだいるぞ。きつねがいるぞ」
いうなりきつねはとびだした。
きつねのからだにゆうきがりんりんとわいた。
自分の命と引き換えに
考える間もなく
おおかみの前に飛び出していった
そんなきつねの様子が見えて
きつねの3匹に対する思いやきつねの強さを感じます。
そのばん。
きつねは、はずかしそうにわらってしんだ。
なぜ、はずかしそうに…なんでしょうね。
食べる気で近づいて
そんな3匹のために命を絶つことになった
3匹を守りたくなった自分自身に対する恥ずかしさなのか
3匹をだましていた後ろめたさなのか…
きつねのおきゃくさまの泣ける結末
ふとらせてからたべようと思って
連れて帰ったひよこに
優しいお兄ちゃんと言われ
ひよこが出会った
これまたやせているあひるに
しんせつなおにいちゃんがいると
一緒に連れてきて
さいごは、やせたうさぎまで
かみさまみたいに育てた。
そんな時に、おおかみが3匹の匂いを嗅ぎつけて山から下りてきた。
それをみつけたきつねは、
「きつねもいるぞ。」
とおおかみにたたかいをいどみ、
いさましくたたかった。
おおかみは逃げて行ったが
きつねは、そのばん死んでしまった。
太らせてから食べようと思っていたきつねが
3匹を思い
おおかみに対してちゅうちょすることなく
自らのいのちをかけて飛び出していくなんて…
きっと、これから4ひきでなかよくくらしていけたのではないかなと思うと、
何とも言えない気持ちになります。
さらに、
さいご、まるまるふとったひよことあひるとうさぎは
キツネのためになみだを流したということで
3匹は、どんな思いでいたのでしょう…
最後のとっぴんぱらりのぷうの解釈
昔話などを締めくくる言葉で、
秋田県の中央、県南で使われているそうです。
おしまい。
のかわりだと思いますが
めでたし、めでたし。
と紹介されているものもありました。
きつねのおきゃくさまの最後に
めでたし、めでたし
は、なんか違和感があります。
3匹にとってのめでたしめでたしなのかなぁ。
皮肉に思えてしまいますが
あまんきみこさんのことです、
なにか意図がありそうです。
きつねのおきゃくさまの伝えたいことを解釈
ずるがしこいきつねが、
疑うことを知らないひよこに会い
やさしい→親切→神様みたいと
信じられ、噂されることを聞き、
きつね自信も少しずつ変化していった。
次第にきつねもそのことばのように
変化していくことから
関わる相手の言葉によって
人は変わる。
ということを教えてくれますね。
普段何気なく発してしまう言葉一つ一つを
もう少し大切にしながら、気に書けながら
伝えたいと思います。
もうひとつ別の伝えたいこともある気がします。
それは、慶応塾生新聞というサイトに書かれていた
「知らない」は罪というコラムを読んでから考えたことです。
満州で生まれた私が、いっぱい楽しい思いをして、
みんなにかわいがられていた時に、
例えば中国の人たちに何をしていたのか。
どんな生活を送っていたのか、
何も知らない自分がいるのです。
子どもの時は『知らない』で許されることがあるけれど、
おとなになって『知らない』ってことは、やっぱりひとつの『罪』だと思います。」
という記事がありました。
このお話も
ある意味、ひよこたち、特にひよこは
きつねの思いを知らず
純粋に「いいお兄ちゃん」
と接し、
知らず知らずのうちに
きつねは変化していき、自らの命を捨ててひよこたちの盾となってしまった。
きつねをそんなふうにさせたひよこの無邪気な罪深さを伝えたのかったかなとも
考えてしまいます。
そういえば、
あまんさんの「おにたのぼうし」も同じような結末だなぁと思いました。
きつねのおきゃくさまの登場人物や出版社など
著者 | あまん きみこぶん 二俣 英五郎え |
出版社 | サンリード |
出版年月日 | 1984年8月20日 |
ページ数 | 32 ページ |
定価 | 1980円 |
対象年齢 | 5歳から |
登場人物 | きつね ひよこ あひる うさぎ おおかみ |
きつねのおきゃくさま、読後に尋ねたいこと
①きつねは、幸せだったかな?
はっきり幸せ不幸とは決められないかもしれないので
心情メーターのようにどれくらいと考えてもいいですね。
②きつなは、いつ3匹を大切に思ったのかな?
すくなくても、ひよことあひるが散歩に出かけるまでは
逃げ出さないかあとをつけていったのです。
その後、どこからきつねのきもちは変わったのか…
さぐってみるのも楽しそうです。
作者あまんきみこさんについては、こちらから
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