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きつねの窓の魅力や伝えたいことを考察。あらすじや感想も。6年生の教科書にも掲載。

教科書

今回はきつねの窓という絵本を紹介します。

きつねの窓は6年生の教育出版の国語の教科書に掲載されています。

令和6年度の教科書にも掲載されることが決まっています。

6年生の教科書で取り上げられるだけあって

伝えたいことがある作品だと思っています。

そんなきつねの窓の伝えたいことや魅力を考察し

あらすじや感想もお知らせしていきます。

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きつねの窓のあらすじ(ネタバレあり)

主人公の「ぼく」がてっぽうをかつぎ

歩きなれた山道のある道を一つ曲がると…

なぜか、見知らぬ場所に出てしまいました。

しかし、余りの美しさに

引き返すのがもったいなく、休んでいると

目のまえを一匹の白い子どものきつねが走りぬけたのです。

仕留めようと、鉄砲を抱えてその後を追ったのですが

見失ってしまいます。

代わりに、背後に「そめものや」と書かれた店があり、

そめものやの店員の子どもがいました。

ぼくは、子ぎつねが化けたことをしりながら

そこで休ませてもらいました。

休ませてもらった代わりに、

何を染めてもらおうかと思っていたところ

指を染めてみないかと店員に勧められました。

男の子自身の染められた親指と人差し指をつなぎ

ひし形にして中を覗いてみるよう促されました。

しぶしぶ、その指の窓の中を見て見ると…

窓の中に母ぎつねが映っていました。

お母さんは、殺されてしまって悲しかったが

いつでも会えるから寂しくないと言うのです。

寂しかった時、桔梗の花に勧められ、

指を染めたら見られたと話してくれるのです。

始めは指を染めるのなんか嫌だと思っていたぼくでしたが、

同じ一人ぼっちだったぼくは

思わずそんな窓が欲しくなったのでした。

染めてた指で作った窓から見えたのは…

そして、代金の代わりにぼくが渡したものは…

うっかりやのぼくは、

そのまま子ぎつねのようにいつまでも

窓を作って思い出にふけることができたのでしょうか?

二人の関係はどうなったのでしょう。

一気にファンタジーの世界に連れていかれる

不思議な魅力的なお話です。

きつねの窓の魅力

きつねの窓の魅力①情景描写の美しさ

目を閉じると

その時の景色が目に飛び込んでくるように書かれています。

書き出し直後の文章

ふと、空がとてもまぶしいと思いました。

まるで、みがきあげられた青いガラスのように…。

すると、地面も、なんだか、うっすらと青いのでした。

どうですか?

透き通るほどきれいな空を想像できませんか?

地面の青はききょうの花畑を意味するのでしょうか…

登場人物の視点の動きもイメージできます。

わたしは、

ぼくの視点の中にすっかり入りこんで

その景色を見ているように感じました。

他にもたくさん、素敵な描写があり

それを探すだけでも私は楽しいと思います。

きつねの窓の魅力②対比と類似が多い

ぼくは、青い窓がなくなってしまった。

きつねには、青い窓がある。

や、

ぼくもきつねも一人ぼっち

など、

ぼくときつねの対比・類似を話の中に探すことができます。

また、

ゆびなんて染められてたまらないと思っていたのに

そんな窓が欲しいと言った

というように

作品の始めと終わりでぼく自身の中に対比を見つけることもできます。

ぼくは、始めと終わりで明らかに変化しています。

ぜひ、さがしてみてください。

対比や類似は、授業では絶対扱いたいところです。

きつねの窓の伝えたいことを考察

きつねの窓の伝えたいこと①変わらぬ愛・大切な思い出

物語の中の、

子ぎつねが母を思う気持ちは、

もちろん、変わらない愛ですね。

お母さんを常に思い出せるるようになり

良かったなと思いました。

やっぱり、一人ぼっちは寂しいですよね。

そして、

ぼくの心の奥底にも

普段は忘れてしまっているけれど

ふとした時に思い出すものがあります。

思い出すだけで

切ないような大切なそんな思い出。

そんな大切な思い出や

人に対する愛は、

誰にでも存在して

大切に心の中に刻まれているということを

伝えてくれていると思います

きつねの窓の伝えたいこと②喪失感の後、どう生きるか

きつねは母を失いました。

でも、窓を手に入れ、

さみしさにも耐えながら

おかあさんを思い出せる

心のよりどころになれる物をみつけ

それを大事にしながら生きています。

ぼくもきつねと同じ孤独でした。

それをきつねは、気づいていて

指を染めてあげようといったのではないかとも思えます。

大切な人、物をなくしても

残されて生きていかなくてはならない人への温かさ、優しさが

漂っている作品であると私は思いました。

ぼくは、指をうっかり洗ってしまって、

指のあいだの窓から見える思い出が

見えなくなってしまいました。

これも、喪失してしまったものと考えられますね。

しかし、

もしかしたら何かを見ることができるかもしれないと思い

時々窓を作っているぼくは、

なんだか、きつねを追って、

家族ごと鉄砲で打ってしまおうと策略していた

ぼくとはうって変わって

純粋な素直なぼくに変化したように

私は受け取りました。

自分は、どう物事をとらえて生きるか

どう、物事をとらえたのかということに

つながっているのではないでしょうか。

前向きに、人に優しく

生きていきたいと私は思います。

きつねの窓の伝えたいこと余談:ききょう

安房直子さんの作品は、

時々植物が出てきます。

植物の花言葉が作品に関係するのでは??

と思えることが以前あったので

気になってここでも

私は調べてみました。

ききょうは、色によっても花言葉が多少違うようです。

青や紫の花言葉は

永遠の愛・変わらぬ愛・誠実・気品

だそうで、

英語の花言葉は友の帰りを願う・正直・従順・永遠の愛があるそうです。

どちらも戦争に関連して生み出された花言葉のようです。

きつねにとっては

お母さんの帰りを願っていたのに

人間に鉄砲で撃たれてしまいました。

ぼくも家が焼けてもうない

というところから

戦争で家や家族がなくなったことが想像されます。

どちらにしても

指をそめるのが桔梗であったということは

安房直子さんが意図して桔梗を使ったのかなと

私は思えてなりません。

きつねの窓の感想

静かに物語が進みます。

安房直子さんの話は

表現するのが難しいのですが

穏やかに、静かに物語に引き込まれていくものが

多いと私は、個人的に思います。

不思議な世界にどっぷりつかり

なんとなく不思議なまま終える。

安房直子さんの話はいつもそんな感じです。

それでもいつも私の読後感はほっこりです。

きつねは、まんまとぼくをだまして

銃を手放させることが目的だったのか。

それとも、

純粋に大切な思いを思い出してほしかったのか。

お母さんが人間に殺されたのにもかかわらず、

敵意を見せていないのか??

自分が化けていることを忘れるほど

きつねが自分のお母さんを語る時は

素になってしまうのか。

ぼくがたとえ自分がきつねだと分かっても

自分を打たない素晴らしいものを紹介している

という思いがあったのか。

この話は、

ぼくの視線で書かれていて

それなのに、

ぼくの深いところまでの感情が読み取れないだけに

勝手な妄想が進んでしまうような…そんな話でした。

きつねの窓の登場人物や出版社など

 童話集の中にきつねの窓が掲載されているものもありますし、

いもとようこさんのイラストで書かれている絵本もあります。

ここでは、一番古い絵本を紹介します。

著者 安房直子(著) 織茂恭子(イラスト)
出版社 ポプラ社
出版年月日 1977年4月1日
ページ数 36ページ
定価 1925円
対象年齢 3歳・4歳・5歳
登場人物 ぼく 子ぎつね 

安房直子さんの他の作品

初雪のふる日(小学4年生国語掲載作品)については

こちらで紹介しています。

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