いすうまくんは、角野栄子さんの作品です。
令和6年度の小学2年生の国語の教科書の付録として新しく紹介されていたので
どんな本だろうと手にしました。
付録としての扱いなので授業で取り上げられることはないのかもしれませんが
紹介されているだけに、一読の価値はあるのかなと思います。
そんないすうまくんのあらすじや魅力について、
授業するならどんなことを子どもに発問する(問うかな)ということも一緒に
考えてみました。
いすうまくんのあらすじ
なつやすみ
たっくんはおとうさんとおばあちゃんのうちに行きました。
そこは、ふるいいえで、おとうさんがうまれたところです。
ろうかのつきあたりに古い木の戸がありました。
物置で古いものばかりだと言われたのですが
気になるので見せてもらうことにしました。
そこには、おとうさんが小さかった時に使っていた
いすもありました。
なぜか、せもたれには、はちまきがぶら下がっているのです。
物置は他の部屋よりずっとおもしろそうに感じて
おばあちゃんに内緒で中に入っていきました。
お父さんが使っていたらしい麦わら帽子もあります。
それをかぶると、たっくんをお父さんとかんちがいした
椅子が座るようにせかします。
座ると、座り方が違うとたっくんを落とします。
馬乗りになって、さっきの鉢巻きをたづなにして握ると…
外に飛び出し、風にのって空まで飛んでいきました。
空には、同じように椅子にのった子どもたちがたくさんいます。
ひさしぶりの飛行に、いすうまくんもうれしそうです。
トンボを見つけると、
とんぼを追いかけてどんどん林の中に降りていくのでした…
いすうまくんとは?
いすうまって何だろうと思いながら読み始めました。
椅子が、馬になるからいすうまなのです。
そういえばうんと小さかった頃
私も椅子にまたがってパカパカってやったようなやらなかったような…
そういえば、
教室で子どもたちが
後ろのことおしゃべりするのに振り向くときも
ちょっと面倒くさがりの子は、
椅子はそのまま
体を反対にして足を広げて椅子にまたがる子もいました。
子どものちょっとしたしぐさをしっかり絵本の題材にできる
角野栄子さんって素敵ですよね。
いすうまくんの感想
私が子どもの頃
夏休みのたびに行っていた田舎を思い出しました。
庭も広くその中に広い古い大きな家。
薄暗い物置やなや。
物置って隠れ家にもなるし、
見慣れない者もたくさんあってワクワクしたことを覚えています。
ちょっと一人で入るのは怖かったけれど…
本来、座るはずの椅子が馬になり
(確かに馬乗りになっていた気もします)
動き出し、空へ飛びあがる。
子どもにとってこんなワクワクすることはないですね。
最後にお父さんがにやっとして
「きみもあそこにいったんだね」
と言った一言。
子どもと親とが共有する出来事があることの良さを教えてくれていると思います。
私自身も子どもの頃に空想していた豊かだったころのことを
思い出したそんな作品でした。
いすうまくんの魅力1ファンタジーの世界
子どもの作品、特に教科書に登場する物語は
なんでこんなにファンタジーが多いのかと思うほどですが、
いすうまくんも不思議な世界に入って戻ってきます。
馬に乗ってどんなところに行くのかなぁと思ったら
空の世界。
子ども達にとって空の世界ってなんだかワクワクしますよね。
色々な椅子に、色々な子たちが乗って
どんなことをしているのかな。
どんなとび方をしているのかな。
いすうまくんのとび方も結構激しいです。
一緒に空の旅を楽しむことができると思います。
いすうまくんの魅力2 お父さんと同じ体験
このいすうまくんのお話は
実は、ずっと前にお父さんも同じ体験をしたようです。
タッくんとお父さんが同じ秘密をもっているというのは、
なんだか男の子にとってうれしいことではないのかなと
感じました。
そして、不思議な世界は不思議な世界ではないのか??
本当に起こりうる世界なのかな?って
まだ小さい子だったら思うのかもしれないですね。
いすうまくんの名言
今回は、名言というよりわたしがおっと思った言葉ですが
最後、お父さんのところに
タッくんが今までの話をしようとしに行ったときに
お父さんから出た言葉を紹介します。
おやっ、とんぼ。
タッくん、きみも あそこに いってきたんだね。
自分の子どもにきみって使うかなとまず思いました。
そして、この「きみ」という言葉から
同じ体験をした同士のような
子どもに対して仲間のような
親子からちょと別の関係をつないだような気持ちにさせられました。
かわいかった小さい子からちょっと格上げされた?
そんな感じがして
タッくんも嬉しかったのではないかなと思います。
授業で子どもに問うなら
①登場人物
確定するのに少し手間取るかもしれません。
たくさんの椅子とそれに乗った子どもたちが空でしゃべっている言葉は
子どもがしゃべったのか
椅子がしゃべっているのかわからないものがあるので
少しお互いの考えを交流させるのによさそうです。
②どこから、不思議な世界に入ってどこで終わったか
③お父さんは、何を根拠にタッくんが不思議な世界に行ったと分かったか
後は、
自由にあなたならどんな椅子にのって
どんなふうにとびたいか理由を含めて自由に考えさせたいなと思いました。
その様子を絵に描かせても(国語とは離れますが)楽しそうですね。
いすうまくんの登場人物や出版社、対象年齢など
著者 | かどのえいこ作 こうもとさちこ絵 |
出版社 | 福音館書店 |
出版年月日 | 1991年7月1日 2014年4月1日 |
ページ数 | 32ページ |
定価 | 880円 |
対象年齢 | 読んであげるなら4歳から 自分で読むなら小学校初級 |
登場人物 | タッくん おとうさん(ツトム) おばあちゃん
いすうまくん 学校の子 ふたごのおんなのこ |
作者の角野栄子さんの他の教科書作品サラダでげんきについては、
こちらの記事で詳しく紹介しています。
作者の角野栄子さんについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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