子どもたちがアンパンマンを目にするのは、
キャラクターグッズかアニメでしょうか。
もとは、やなせたかしさんが絵本を描いたところから
アニメ化されグッズ化されていったアンパンマン。
そんなアンパンマン、最初の絵本について
いつ出版されたのかなどの豆知識や
売れるまでのエピソード、今との違い、
伝えたいことやあらすじなどを紹介していきます。
あんぱんまんのあらすじ
さばくのまんなかでたびびとが
おなかをすかせてしにそうになっています。
そのとき、とんできたあんぱんまんは
ぼくのかおはとびきりおいしいので
ぼくをたべてと言うのです。
はじめは、おそるおそる食べた旅人ですが
半分くらい食べるのでした。
顔が半分になったアンパンマンは、
元気になった旅人と別れを告げ
それへ飛んでいきます。
森を通り過ぎるようとすると
一人の子どもがお腹をすかせて泣いています。
蝶を追いかけて道に迷ってしまったのでした。
辺りも暗くなってしまいました。
そんな時にあらわれたあんぱんまんは、
子どもをのせ飛び立ち、
途中で顔を食べるように伝えました。
顔がすっかりなくなってしまったアンパンマンは…
アンパンマンの伝えたいこと
この最初の絵本で伝えたいというより
すべてのアンパンマンの話を通して
やなせたかしさんのメッセージが込められています。
1976年の絵本(最初に世に出たお話)に
やなせさんはあんぱんまんについて書いています。
ほんとうの正義というものは、
けっしてかっこうのいいものではないし、
そして、そのためにかならず自分も深く傷つくものです。
そしてそういう捨て身、献身の心なくしては正義は行えませんし…(略)
アンパンマンを通して、
やなせたかしさんの考える
正義とは?
ということを具現化したものがアンパンマンなのだと思います。
アンパンマンの姿そのものがやなせたかしさんの考える正義なのでしょう。
アンパンマン以前のアンパンマン、売れるまでのエピソード
実は、絵本になる前に
アンパンマンは
おとな向けのラジオのドラマから始まり
挿絵入りの小説に登場していたのです。
でも、アンパンマンは
アンパンを配る人間のおじさんでした。
おとな向けということで
本当の正義というものを大人にこそ伝えたかったのかもしれません。
それが子ども向けの絵本として登場したのはなぜなのかというと、
やなせたかしさんがそれ以前に書いた絵本
「やさしいライオン」
を出版した会社からもう一冊絵本を描いてほしいと頼まれたからです。
絵本にする時、空を飛んでパンを配るおじさんでは物足りないと考えて
いっそアンパンを顔にしてそれを直接食べてもらうという設定にしました。
おとな向けのアンパンマンはあまり話題にはならなかったのですが、
子どもたちなら
自分を犠牲にして、おなかをすかせた人を助ける
そんな、カッコ悪いけれどやさしいヒーローを分かってくれるのではないかという
思いがあったようです。
そうしてできあがったのが
「あんぱんまん」で
1973年月刊絵本「キンダーおはなしえほん」10月号に掲載されました。
その後この時のあんぱんまんのお話は、
1976年5月に「キンダーおはなしえほん傑作選」として発売され、
2022年には、新装版として販売されています。
始めはカタカナ「アンパンマン」ではなく平仮名「あんぱんまん」
幼稚園保育園の子たちに向けて描いた絵本だったので
こどもたちが読めるように
カタカナではなくひらがなで
「あんぱんまん」という題にしました。
時間はかかりましたが
おとなの批判に反して、
子どもたちからのじわじわ人気が高まり
今のアンパンマンの地位が作られていきました。
子どもには、大人が忘れてしまっている
子どもらしい感性があるので
おとなが大人の感覚でよし悪しを判断してはいけないなと思いました。
やなせたかしさんの純粋な気持ちは
やっぱり純粋な気持ちで生きている子どもたちだからこそ
受け取ることができたのでしょうね。
あんぱんまんの昔と今の違い
今は、グーの手ですが、始めの頃アンパンマンは指がありました。
身長も長く、3.5等身くらいあります。
今のアンパンマンは2等身くらいですよね。
子どもたちにこの違いを紹介すると
なぜか大うけします。
今のかわいらしいアンパンマンは
どちらかというと人間の赤ちゃんくらいのバランスだから
よりかわいらしさが増すのでしょうが
3.5等身くらいだと、なんだか人間ぽくなるので
そこで笑いがおきるのかなと思います。
マントはボロボロでつぎはぎがありました。
ただ、なぜか最後の新しい顔になって空を飛んでいるところでは
きれいなマントになっていましたが…
また、ジャムおじさんという名前は付いておらず
ぱんつくりのおじさんと表記されています。
ばいきんまんもバタコさんもまだいませんでした。
あんぱんまんの登場人物や対象年齢、出版社など
今、購入できる新装版のデータをここでは掲載します。
内容は1976年のものと同じです。
著者 | 作・絵 やなせ たかし |
出版社 | フレーベル館 |
出版年月日 | 2022年7月8日 |
ページ数 | 32ページ |
定価 | 1397円 |
対象年齢 | 3歳、4歳、5歳から |
登場人物 | あんぱんまん、たびびと、こども
ぱんつくりのおじさん(今のジャムおじさんのこと) |
アンパンマンに作者のやなせたかしさんが込めた思いについては
こちらのサイトで詳しく紹介しています。
やなせたかしさんの外の絵本ちりんの鈴については
こちらのサイトで紹介しています。
やなしたかしさんのやさしいライオンについての詳細はこちらから
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