ちいちゃんのかげおくりの悲しい最後に
授業でも涙する子が多かったです。
3年生の教科書にも掲載されているちいちゃんのかげおくりの
あらすじ、感想や伝えたいこと本当の話かという疑問についてや
授業での終盤での発問(問い)などを紹介していきます。
国語の教科書にも掲載
光村図書出版の3年生の教材です。
初めて掲載されたのは、昭和61年からです。
光村図書の中では、比較的新しい掲載となります。
とはいえ、すでに30年以上も掲載され続けているのですね。
戦争教材として初めて出会う物語となっています。
他の教科書会社では、どの出版社も紹介図書として取り上げられていますが
戦争のお話を教材として取り上げているところはないようです。
ちいちゃんのかげおくりのあらすじ
お父さんが出征する前の日、
家族で墓参りに行った帰りに
影送りをお父さんがちいちゃんに教えてくれました。
家族4人でかげおくりをしました。
次の日、体の弱いお父さんも出征していきました。
それ以来、
ちいちゃんはお兄ちゃんと影送りをして遊ぶようになりました。
しかし、いくさがはげしくなり
かげおくりもできなくなりました。
空に戦闘機が来るようになってしまったからです。
夏の始めのある夜
くうしゅうけいほうが鳴りひびき
3人は走り出しました。
にげている間に
ちいちゃんはお母さんたちとはぐれてしまいました。
ちいちゃんをだいて
走ってくれたおじさんもいました。
次の日焼け野原でたちつくすちいちゃんを
はす向かいのおばさんが声をかけてくれ
いっしょに家のあったところまで連れて行ってくれました。
お母さんたちがもどってくると信じているちいちゃんは
家のあったところに戻り
一人、ざつのうの中にあるほしいいを少し食べ、
すごします。
あるひ、目が覚めると
お父さんのやお母さんの声がきこえ
ひとりでかげおくりをはじめると
そらに4つのかげおくりができ
空の上でみんなにあうことができました。
ちいちゃんのかげおくりの感想
何度読んでも涙が出てしまいます。
子どもたちに読み聞かせをしている時も
涙をこらえるので必死になります。
ちいちゃんが
お母さんとまちがわずに
一緒ににげてくれていたおじさんといっしょにいたら…
お母さんたちが帰ってくると言わずに
はす向かいのおばさんといっしょにいたら…
命はあったかもしれないのに。
でも、一人で生き残っても小さな子が
一人だけ残されて生きていくのは
つらいかな。
お母さんたちがむかえに来てくれることを
信じて疑わなかったのだろうと思います。
さいご、空の上で迎えに来てもらえましたが
ちいちゃんにとって、どちらが幸せだったのでしょう。
戦争の悲惨さ、
悲しさを改めて感じさせられる話です。
戦争からは本当に何も生まれません。
静かに、静かに
淡々と語られているので
より、悲しみを感じてしまうのかもしれません。
悲しいお話ではありますが
このお話を勉強すると
必ず子どもたちはかげ送りをやって
遊びます。
わたしの末娘は、
4年生の一つの花の学習(戦争教材)のテストでも
登場人物の女の子の名前を
ちいちゃんと書き込んだほど
強烈に印象に残っているお話だった様です。
ちいちゃんのかげおくりの最後
あらすじでも紹介しましたが
死んだとは書かれていませんが
小さな女の子の命が、空にきえました。
というところから
死んでしまったことが伝わると思います。
その何十年か後のことが書かれていて
そこには、
ちいちゃんが一人でかげおくりをしたところの紹介がされています。
公園になり、
子どもたちのきらきらしたわらい声が上がっているそうです。
一人ぼっちだったちいちゃんと
対比するように
きらきらした笑い声や
子どもたち(ふくすう)が
遊んでいる様子が4行ですが書かれていることで
さらに、ちいちゃんの死の悲しさを引き立たせています。
ちいちゃんのかげおくりは本当の話?
あまんきみこさんの童話作品なので、実話とは限りません。
ただ、戦後、ちいちゃんのかげおくりにあるような思いをしている
家族や子どもたちがいたのは事実ですよね。
そういう子どもたちがいたから、あまんきみこさんの中では
親と離れてしまった子どもを知っていた可能性はありますね。
知っているエピソードを書かれている可能性はあるかもしれませんが
特に実話とは言われていないので
ちいちゃんのかげおくりは創作童話と考えられますよね。
ちいちゃんのかげおくりの伝えたいこと
戦争の悲惨さ
平和のとうとさだと思います。
その悲惨・平和について
色々な対比で表現しているところが秀逸だと思います。
悲惨さについて
かげおくりの対比で感じられます。
かぞくみんなでやったかげおくりと
さいごの
ひとりでやったかげおくり
そして、
空の上で4にんいっしょになったかげおくり。
それぞれの場面を対比することで
その様子をより想像することができますね。
そして、
その間にちいちゃんのまわりから失われていったものの多さに
戦争の悲惨さを感じずにはいられません。
平和について
最後の場面と最後のちいちゃんの対比。
ちいちゃんが一人ぼっちでかげおくりをした場所と
数十年後のその場所の対比からは、
戦争のない日の平和な日常のありがたさを感じずにはいられません。
最後の場面はたった4行ですが
やはり、一人ぼっちだったちいちゃんとの対比で
日常の幸せが表現されていると思います。
ちいちゃんのかげおくりの終盤の発問
①二つのかげおくりの様子を比べましょう(同じところ、違うところ)
②最後、ちいちゃんは幸せだったか不幸だったか。
※ここは、意見が分かれるところです。
友達はどんなふうに読み取ったり考えたのか
伝え合えるといいですね。
ちいちゃんのかげおくりの登場人物や出版社など
著者 | あまんきみこ作 上野紀子絵 |
出版社 | あかね書房 |
出版年月日 | 1982年8月20日 |
ページ数 | 57ページ |
定価 | 1430円 |
対象年齢 | 小学校低学年から |
登場人物 | ちいちゃん、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、おじさん、おばさん |
小学校3年生で掲載されている本は
こちらで紹介しています。
作者のあまんきみこさんについては、
こちらで紹介しています。
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